テクノロジーを見せない
この家の建主は建築環境設備分野の博士であり、自邸でその分野の実験を試みたいとの意向があった。 その一方で、できる限り設備機器等のハードウェアを不可視化し、十分な機能性を保ちつつも住まいとして 安らぎのあるデザイン性豊かな住宅にしつらえたい、という方向性は設計の初期の段階で一致していた。
単純形体の組み合わせにより生まれる、単純ではない空間
ゲート型の大屋根を少し傾け、水廻りや階段から成るコアとも言えるボックスとの間に適度な「間(ま)」 を残して組み合わせた。この適度な「間」を残すことにより、光や風、視線など色々なものがこの間を通り抜ける。 玄関やキッチンでは裏庭へ視線が抜ける。ロールスクリーンを利用した簡易ダブルスキンで暖まった空気は、 ロールスクリーンの上部に設けられた通気孔をくぐり抜けた後、傾斜天井に沿って北側ハイサイドライトに誘われ、 外へと排出される。主寝室や子供室からは、このハイサイドライトを介して空の表情を楽しむこともできる。 このハイサイドライトの透明性をできるだけ保つため、この部分に必要な梁は鉄骨の細い線材を組み合わせた 「トラス梁」とした。また、大屋根は太陽光発電の設置角の合理性を保ちつつ、大きな「軒」として夏の日光遮蔽に貢献している。
エネルギー利用のあり方を試行
基礎のボイドスラブをクールチューブとして利用した。これは構造計画的な合理性を自然エネルギー利用にも流用しようという 新しい試みである。また、太陽電池と家庭用燃料電池による複合発電も導入し、パッシブデザインとアクティブシステムの組み合わせを意匠・構造・設備の融合により達成した、上質な次世代低炭素住宅として仕上がっている。
テーマ『サスティナブル』
太陽光や地熱などの自然の力や先進的な設備を活用して省エネルギー化を図っている。
夏期は大きな庇が直接の日射を室内に入らないように遮り、通気孔を空けたロールスクリーンによる簡易的なダブルスキンにより、自然換気を促す一方で、冬期は低い角度の日射は室内の奥の方まで採り入れることができる。また、基礎のボイドスラブをクールチューブとして利用し、夏期により取り入れた外気は、クールチューブを通過することにより地熱により10度程度低くなってから室内に入る。冬期は逆に地熱により外気は10度程度高くなって室内に入る。このため空調の負荷が大きく軽減される。




住宅情報
| 建築年 | 2010年 |
|---|---|
| 敷地面積 | |
| 延床面積 | 140.35㎡ |
建築家について
| 氏名 | 笹野 直之 |
|---|---|
| 所属 | 有限会社笹野空間設計 |
| 所在地 | 愛知県名古屋市名東区猪高台2-216 |
| ホームページ | https://www.sasanosd.com |