真珠いかだに使われる若齢木の丸太を構造材として活かし、志摩の地の風景に溶け込むよう、浜小屋をオマージュした、三重県志摩市に建つ、木造の小さな住まいです。
舞台は国立公園内。厳しい制限があるからこそ、この敷地ならではの自然や風景を丁寧に読み取り、施主・設計・施工の三者で時間をかけてコンセプトを練りました。生息している樹木のボリュームや土地の高低差、また風の流れに配慮しながら、建物の位置や向きを定め、心地よい風が抜ける開口を計画しています。
この住まいは、「人が集まる家」を目標に、設計に加えてワークショップも取り入れてつくられました。つくる過程の楽しさや発見を共有しながら完成を迎え、その後も暮らしの中で手が加わり、少しずつ育っていく、そんな時間の重なりが、この家の魅力です。




テーマ『参加型』
本住宅は「地産地消」と「地域に根付く」をコンセプトに、県内の素材や計画地近辺で確保できる素材を集め、造り手も地元の職人(特に若い世代の職人への世代交代も見据えた)はもちろんのこと、近隣の友人関係、そして家族3世代が関わりながら進めました。
敷地内樹木の伐採や整理にはじまり、竹小舞の竹集めや竹割り作業、もみ殻回収や燻炭づくり、また地業ヨイトマケや建て方に参加したり、小舞を編んで土壁を塗ったり、敷地の倒木から流し台を作ったり、外壁板貼り作業を手伝ったり、障子の紙を貼り替えたり、砂利敷き作業などなど。職人に任せれば効率よく進む作業も、あえて住まい手が手を動かすことで、現場には一定の手間が増える一方、コスト面だけでは測れない多くの価値が生まれました。それは、完成後も手を入れながら住まいを育てていくための、確かな土台になっています。
近年、時代の流れは思っている以上に早く、住まいの世界でも新しいものが次々と生まれています。その一方で、これまで当たり前だった考え方や技術が、いつの間にか「古いもの」として扱われてしまう場面も多くなりました。そうした中で、気候風土適応型住宅という仕組みを通して、この地域らしい住まいのかたちを、施主・施工者と一緒に探りました。

住宅情報
| 建築年 | 2020年 |
|---|---|
| 敷地面積 | 498.26㎡ |
| 延床面積 | 59.62㎡ |
建築家について
| 氏名 | 六浦 基晴 |
|---|---|
| 所属 | エムサンク_アーキテクト一級建築士事務所 |
| 所在地 | 愛知県北名古屋市鹿田若宮3953-6 |
| ホームページ | https://www.m5archi.com/ |