築100年の母屋が残る敷地に寄り添うように建てた、延床面積約7.5坪の小さな住まいである。
既存建物をすぐに建て替えるのではなく、暮らしを重ねながら少しずつ更新していく。その一つの選択肢として計画した。

構造は、90ミリ角および90×150ミリ材のみを用いた単純な架構とし、最長スパン約3メートルの軽量構成で耐震等級3を確保している。
構造を単純化することで、将来的な解体・移築・増築にも対応しやすく、暮らしの変化に応じて柔軟に扱える住まいとした。

内部は引戸一枚で仕切る最小限の構成とし、畳の小上がりや可動家具によって、居間・寝室・作業スペースを兼ねる。
屋根は、南側に母屋が近接していることを考慮し、上下に30センチ離した二重構造とし、夏は日射を抑え、冬はトップライトや開口部からの光を室内へ導く計画とした。
外壁には半透明素材を用い、外部の光や時間の移ろいが、建物の表情として穏やかに現れるようにしている。

小さな建築でありながら、構造・素材・空間の在り方を実寸で検証する「テストハウス」としての役割も担っている。
既存と新築、過去と現在が並び立ちながら、状況に応じて変化し続ける住まいのあり方を提案する住宅である。

家づくりのヒント

テーマ『小さな家』

住まいを一度で完成させるのではなく、暮らしの変化に応じて増やし、減らし、移すことを前提に考える。
構造を単純にし、材料や寸法を揃えることで、将来的な改修や解体のハードルは大きく下げられる。
「小さくつくる」ことは、コストだけでなく、住まいを柔軟に使い続けるための有効な手段となる。

住宅情報

建築年 2024年
敷地面積 367.56㎡(111坪)
延床面積 24.84㎡(7.5坪)

建築家について

建築家近影
氏名 宮田 智治
所属 ミヤタ建築事務所株式会社
所在地 愛知県丹羽郡大口町竹田2-309
ホームページ https://www.miy6t6.jp